2026年9月30日以降、「カードが使えるかを確認するだけ」を目的とした少額のオーソリ(1円・100円などでの仮売上)が使えなくなります。Visa・Mastercard のルール変更により、有効性の確認は「仮売上」ではなく、専用の「有効性チェック(ゼロ金額の有効性確認処理)」で行うことが求められるようになるためです。カード登録やサブスク登録の裏側で、この「1円オーソリ」を使ってきたサービスは、9月30日までに処理の切り替えが必要です。
これは、オーソリ25日ルールと同じ Visa・Mastercard のルール強化の一環で、今後1年に控える一連の変更のひとつです。本記事は、決済代行会社各社の公式告知をもとに、EC・サブスク事業者が「9月30日までに何をすればよいか」を整理したものです。
先に要点
- 有効性確認を目的とした少額オーソリ(1円などの仮売上)は2026年9月30日以降禁止(参考値・各決済代行会社の告知)。
- 移行先は「有効性チェック」(ゼロ金額の有効性確認処理。国際的には Account Verification と呼ばれる専用のメッセージ)。
- 影響は主に「カードを登録して後で課金する」仕組み全般——サブスク登録・カード事前登録・無料トライアルなど。
- 対応は決済代行会社ごとに専用機能・APIへの切り替えが必要。仮売上の区分のまま続けるとペナルティの対象となる可能性が告知されています。
そもそも「1円オーソリ」は何のためだったのか
多くのサービスでは、カード登録やサブスク申込の瞬間に、そのカードが本当に使えるかを確かめたい、という事情があります。実際に課金するのは後日でも、登録の時点で無効なカードや不正なカードを弾いておきたい——そのために、1円などの少額のオーソリ(仮売上)を立てて、すぐに取り消す、という手法が広く使われてきました。利用明細に「1円だけの利用通知」が残るのは、この処理によるものです。
この手法は便利ですが、「売上にする予定のない仮売上を、カードネットワークに大量に流す」状態でもあります。今回のルール変更は、この使い方を専用の処理に置き換えさせるものです。
何が禁止され、何に移行するのか
2026年9月30日以降、売上を確定させる予定のない「有効性確認だけを目的とした仮売上(少額オーソリ)」は禁止されます。カードが使えるかを確かめたい場合は、仮売上ではなく、「有効性チェック」(ゼロ金額の有効性確認処理。国際的には Account Verification と呼ばれる専用のメッセージ)を使うことが求められます。
決済代行会社は、この有効性チェック専用の機能・APIを用意しています(GMO系の「有効性取得機能」など)。事業者は、カード登録フローの有効性確認ロジックを、その専用処理に切り替える必要があります。仮売上の区分のまま少額オーソリを続けると、ペナルティの対象となる可能性が告知されています。
なお、移行先の呼称は決済代行会社によって「有効性チェック」「0円与信」「有効性取得」などと異なります。自社の契約先の表記と、切り替えに必要な設定・APIを確認してください。
どんなサービスが影響を受けるか
影響が大きいのは、「カードを登録して、課金は後で行う」仕組みを持つサービスです。
| 類型 | なぜ対象になりやすいか |
|---|---|
| サブスク・定期通販の登録 | 申込時にカード有効性を確認し、課金は後日。登録時の確認に少額オーソリを使っていることが多い |
| カード情報の事前登録(保存カード) | 「登録しておいて後で課金」——登録時の有効性確認に少額オーソリを使いがち |
| 無料トライアル | トライアル開始時にカード登録+有効性確認、実際の課金はトライアル終了後 |
| 継続課金プラットフォーム・アプリ | カード登録を伴う継続課金全般。登録フローの裏側で有効性確認をしている |
2026年9月30日までにやること
1. 少額オーソリを使っているか棚卸しする
まず、自社のどのフローで少額オーソリ(1円など)による有効性確認をしているかを洗い出してください。カード登録・サブスク登録・無料トライアル開始の各フローが対象になりやすい箇所です。決済代行会社の管理画面で「1円」などの仮売上が立っていないかを確認するのも手がかりになります。
2. 決済代行会社の「有効性チェック」対応を確認する
契約している決済代行会社の、有効性チェック(0円与信/有効性取得)の対応状況と、切り替えに必要なAPI・設定を確認します。呼称・実装方法は会社ごとに異なります。
3. 切り替えの実装とテスト
カード登録フローが、仮売上ではなく有効性チェックを正しく呼ぶように実装を切り替え、登録が通ること・無効カードが弾かれることをテストします。
4. 9月30日から逆算したスケジュール
期限型の変更なので、実装・テストの期間を見込んで逆算した切り替え計画を立ててください。
セルフチェックリスト
次のうち1つでも当てはまれば、9月30日の変更の対象です。自社の決済代行会社の告知を確認し、対応を始めてください。
- カード登録・サブスク登録・無料トライアルのフローがある
- 登録時に「1円」などの少額オーソリでカード有効性を確認している
- 決済代行会社から届いた「ブランドルール変更」の告知を、開発・運用がまだ確認していない
- 自社の決済代行会社の「有効性チェック/0円与信」対応状況を把握していない
- 9月30日までの切り替えスケジュールを決めていない
次の一歩
この変更は「期限があり、全EC・サブスクが対象で、対応しないと処理が突然通らなくなる」タイプの制度変更です。カード登録・サブスク登録の裏側を触るため、実装とテストに時間が要ります。9月30日から逆算した準備をおすすめします。自社の登録フローが有効性チェックに切り替わっているかの棚卸し・設計についてのご相談も承っています。
出典・確認日
本記事は、カードブランド(Visa/Mastercard)の規則条文そのものではなく、各決済代行会社が公開しているルール変更の告知と、公開されている技術ドキュメントをエビデンスとしています。すべて2026年7月14日確認。適用時期・呼称は決済代行会社ごとに異なり、内容は変更される場合があります。必ず自社が契約している決済代行会社の最新の案内を確認してください。
- カラーミーショップ(GMOペパボ 公式お知らせ):有効性確認目的の仮売上は2026年9月30日以降禁止。
- ゼウス(決済代行会社 公式サポート):少額の仮売上禁止→0円与信への変更が必須。
- ecforce(株式会社SUPER STUDIO 公式サポート):有効性確認のみを目的とした少額(1円等)オーソリは禁止。
- GMOペイメントゲートウェイ(公式FAQ F01298)/ SBペイメントサービス(公式FAQ F01299):ブランドルール変更に伴う取引仕様変更の公式案内あり(本文はブラウザでの目視確認を推奨)。
- Cybersource(Visaグループ)技術ドキュメント:「Account Verification with a Zero Amount Authorization」——ゼロ金額の有効性確認処理という呼称の裏付け。
- Stripe 公式リソース:1円オーソリの定義・背景。